見守りゲイト 日常行動解析サービス
SEARCHGAIT研究会

見守りゲイト®
 

ご挨拶

三苫 博

 神経疾患によって生じる運動障害の病態を捉えることとは、「運動制御系のどのシステムに、どの程度の障害が起きているか」を明らかにすることに他ありません。 このためには、運動の軌跡、速度、加速度など制御の対象となっているパラメーターを識別定量化することが必要となります。しかし、従来の臨床的な診察・検査法は、 病的な変化を総体として評価するものであり、ブラックボックスの中を覗き、生理学的な基本要素の変化を同定するという還元的なアプローチを行うことは出来ませんでした。

 一方、近年の工学分野の急速な進歩で、様々な動作の加速度を長期間記録することが可能になり、三菱化学(株)は数理学的手法を用いて歩行運動を分離し、その周期、 床反力を計測するSEARCHGAIT®という検査システムを開発しました。この手法を用いれば、日常生活の歩行障害の状態を、周期・力の異常という要素的なパラメーターに置き換えて 表現することが可能になりますので、方法論的に大きな飛躍をもたらすものと期待されます。

研究会は、このSERCHGAITを臨床的に導入することを目標としたもので、2008年10月の設立以来、多くの先生方と議論を繰り返してきました。その結果、 パーキンソン病の日内変動を定量化する方法論を確立し、論文にも発表致しました。今後とも、先生方との議論の中で、様々な臨床応用の可能性を広げてゆきたいと思います。 さらに、本研究会を、歩行を中心とした生理学的な研究・思索のための開かれた場として提供できますことを切に願っております。

東京医科大学 医学教育学講座 兼任教授  三苫 博